健康に生きていく上で、歯は非常に重要です。
健康な歯を保つには、自分で行う毎日のセルフケアとして電動歯ブラシとフロスの併用が効果的だということを前回お伝えしました。
今回は、セルフケアに加えて、歯科医や歯科衛生士などによる定期的な検診とクリーニングのプロケアを習慣にすることによって、虫歯や歯周病を未然に防ごうという予防歯科の考え方について、日本とオーストラリアを比較してみます。
予防歯科とは
日本では、歯医者は歯が痛くなってから行くものと思っている人が多いのではないでしょうか。
歯が痛かったり、何か問題があってから歯医者に行って治療し、それが解決すると、また何か問題が生じるまでは歯医者に行くことがないのが現状だと思います。私もそうでした。
また、仕事が忙しくて時間が取れないと、少しくらい痛くても我慢の限界まで行かないという人もいるでしょう。
ここ、オーストラリアでは、半年ごとに検診とクリーニングを行い、1年ごとにレントゲンを撮るのが当たり前になっています。
また、歯並びが悪いと虫歯や歯周病などさまざまな問題が起きる可能性があるため、子どもの頃から歯並びの矯正も積極的に行われています。
虫歯になったから歯医者に行くのではなく、虫歯を予防するために歯医者に行くという考えが定着しているように思います。歯が悪くなってから歯医者にかかるのでは治療規模も大きくなり、治療費も高額になってしまうと認識している人が多いからでしょう。
「予防歯科」とは、虫歯や歯周病になってから歯医者に行って治療するのではなく、そうなる前の予防を大切にして健康な歯を保つということです。
日本でもこの予防歯科の考え方が徐々に浸透してきていることは大変喜ばしいことです。
オーストラリアが日本よりも予防歯科の意識が高い理由
ようやく予防歯科が認識され始めた日本ですが、オーストラリアが日本よりも予防歯科の意識が高く、先行しているのには理由があるように思います。
歯科治療の国の補助がない
日本では、歯の治療を含め、さまざま医療費に国民健康保険や社会保険が適用されるので、自己負担は年齢によりますが1~3割です。そのため、保険適用の歯科治療だと数百円から数千円で済んでしまうことが多いですね。
オーストラリアの場合、日本の国民健康保険に当たる「メディケア」では、一部の条件を満たす人以外、歯科治療費は適用されないため、すべて自費で支払うことになります。そのため、各自で別途、歯科治療が適用されるプライペート保険に加入して対処しなければいけません。
日本の保険適用外の治療はオーストラリアも同様に高額
日本の保険適用外の歯科治療費に関しては、オーストラリアも大差ありません。
例えば、セラミックの被せ物や詰め物、歯並びの矯正、ホワイトニングは日本でも保険が効きませんね。
日本では虫歯ができた場合、保険が使える範囲内の治療を希望する場合、虫歯治療の跡に、銀の詰め物や被せ物をするのが主流だと思います。
ところが、オーストラリアでは銀の詰め物や被せ物で治療する歯医者はいません。
日本人の銀歯や金歯(今はないか?)を見ると、「Japan special」「Oh beautiful!」と感嘆の声が上がり、暗にバカにされます。
基本的にセラミックの被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)で治療することになります。
セラミックの治療費は日本と同様、高額です。
セラミッククラウンだと、どの歯に被せるかにもよりますが約8~15万円くらいが相場ですね。
オーストラリアでは、歯科治療は基本的に国の健康保険の対象外なので、必要に応じて個々でプライベート保険に加入しますが、その保険もだいたいは、基本治療と特殊治療によって保険でカバーされる割合が異なっていたり、年間の上限額が設定されているものが多いです。
このように、歯医者にかかると高額な治療費がかかるのが分かっているので、治療を回避するためには予防ケアに力を入れざるを得ない事情もあります。
予防歯科で生活の質を高める
歯はダイレクトに生活の質を左右します。
歯が痛かったりグラグラしていると、食事をおいしく味わえません。
笑った時に、歯が黒ずんでいたり、歯が欠けていたり抜けていたら、笑顔も台無しです。
痛い所がないから検診もクリーニングも必要ないと思ってしまうかもしれませんが、痛みを感じなくても進行している症状があることも少なくありません。歯垢や歯石を放置すると歯周病を招きます。
また、多少痛くても我慢して放置していたために、神経を抜かざるを得なくなったり、抜歯や入れ歯にせざるを得なくなってしまうこともあります。
毎日の歯磨きによる「セルフケア」と、定期的な検診とクリーニングの「プロケア」のダブルケアを意識して行っていれば、虫歯や歯周病になりにくくなるし、問題が発生しても早期に対処できるので大掛かりな治療をしないで済みます。削られたり失われる歯も減りますね。
治療費が高いからという理由で歯医者に行かずにいると、結果的に高くつくことになるので、治療費を抑えるには、予防歯科を認識することが大切なんですね。
私も、もっと早くにこの予防歯科を認識できていれば、治療だらけの歯にならなくて良かったのにと悔やまれます、ホントに。