更新 2019.05.18

田舎の葬式はしきたり・慣習を大きく外れないやり方が無難

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数ヶ月前に父が亡くなり、初めて葬式を主催する側を経験をしました。

昨今は、葬式に対する考え方が多様化してきているので、葬式のやり方もさまざまです。

個人的には葬式は簡素な方がいいと思うのですが、田舎の葬式は地域性を無視できない事情もあります。

父の葬式を終えて、葬式のやり方を考えるいい機会にもなりました。

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田舎の葬式のやり方

実家を離れて30年以上経ちますが、田舎の葬式を体験したのは、25年くらい前の祖父の葬式と7年前の祖母の葬式のみです。とにかく家の中が人で溢れていたという記憶が強いです。

実家は地方の田舎町の小さな集落なので、昔ほどではないにしろ、葬式は慣習的にそれなりの費用をかけて行われています。

現在、地元で行われる葬式は、遺体安置→納棺→火葬→通夜→葬儀・告別式の順に行われます。通夜の前に火葬を済ませる骨葬(前火葬)なので、通夜、葬儀・告別式では祭壇に置かれた故人の骨箱を前に、儀式が行われます。

一般の会葬者は通夜に集まり、葬儀・告別式は近親者で執り行うのが通例です。

昔は、通夜も葬儀もすべて自宅でやるのが普通でしたが、20年くらい前? でしょうか、集落に公共の集会所ができてからはそこで執り行うのがほとんどのようです。

誰かが死んだとなると、もちろん葬儀屋を頼んで進めますが、それと並行して、あれよあれよという間に隣り近所の人が集まってきて、家の中の片付けから会場準備、もろもろの役割が決まっていきます。

全体を仕切る世話役、通夜・葬儀会場への送迎、会場の受付係、駐車場係、靴当番、香典返しを渡す人、自宅で食べる遺族・親族の食事作りや、弔問客へのお茶出しや対応など、近所の人にお手伝いを頼むのが慣習になっています。

祖母の葬式の時のお手伝いさんの数は、男女合わせて10人前後いたと記憶しています。お手伝いくださった方には後で商品券等のお礼を渡します。

とにかく田舎の葬式は親族以上に近所の人のサポートが大きなウェイトを占めているのです。

近所や親戚づきあいが濃い田舎の冠婚葬祭はそういう人たちの意見が否応なく割り込んでくるので、一筋縄ではいかないとよく聞きますが、今回も少なからずそれは感じましたが、想定内です。

田舎に行けば行くほど冠婚葬祭は派手だからね~と言われたものですが、今はそんなことないように感じます。

葬式に関しては、見栄を張るというよりは、一般葬で慣習的に執り行うことがスムーズなやり方 (文句を言われないやり方) だと感じている人が多い気がします。なので、今流行の家族葬などはまだ一般的ではありません。

地域性はありますが、私の田舎の葬式は合理的な面もあります。香典返しはいただいた金額に関係なく一律(1,000円程度)、通夜る舞いはなし、葬儀後の会食は会費制、お布施は定額など、自治会・檀家で喪家の負担を減らす取り決めがされています。

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父の葬式

初めて葬式を主催する当事者になったわけですが、生前に父から葬式に関しての希望は口頭でも書面でもなかったので、残された家族に任されることになりました。

予備知識や経験がない状態で葬儀社と短時間の内に即決しなければいけないことが山ほどあるわけですが、おおまかではありますが事前に母と以下のことを決めていました。

1. 自宅で小規模にやりたい
まず、自宅で顔を見知った深いつきあいのある親族、知人に人数を絞ってやる方が場が和むし、家族の精神的な負担も少ないと考えました。

また、父のように高齢で亡くなると、仕事のつきあいも集落内の活動の機会もほとんどなくなっているし、生存している同年代の仲間も少ないため、そもそも葬儀に呼ぶ人自体が少ないのです。集会所でやらなくても仕切りを外せば結構な広さが確保できる自宅で十分葬式ができると感じました。

今は、昔のように自宅で葬式をやる件数は少なくなっていますが、長寿化で高齢で亡くなる人が増えれば田舎では逆に自宅葬が増えてくるのではと想像します。

2. 葬儀・告別式に呼ぶ人は限定する (深いつきあいがない人は呼ばない)
通夜は会葬者を限定しませんでしたが、葬儀・告別式は父方の祖父母の代までは縁があったけれど、父母の代ではほとんどつきあいがなくなった遠~い親戚や集落の人には、今回、葬儀・告別式の案内は出しませんでした。

遠~い親戚は、私は会ったことがない人たちが多いので顔を見ても誰だか分かりません。母は一部の人を知っているとしても、もうほとんどつきあいはありません。

今後ますます老いていく母にはそんな遠い親戚とのつきあいは重荷になるだけなので、これを機会に冠婚葬祭のつきあいがなくなった方が残された家族にとっても幸いです。

祖父母が亡くなって以降はそれほどつきあいがない同じ集落のお宅は、つきあいを切るということではありません。同じ集落に住む人たちは、つきあいが深い浅いにかかわらず、不幸があると香典のやり取りはするので、今後はその関係で十分だと思うのです。

3. お手伝いさんの数を減らす
高齢化と過疎化が進んで実家の隣り近所は高齢者ばかりで、若い人は数える程度なので、葬式のお手伝いを頼みにくい年代が多い環境です。

なので、近所のお手伝いさんは3人に絞りました。減らしても年配者ばかりですが、まだまだ元気な3人です。

1人は世話役の男性 (80代)、2人は自宅内のもろもろを手伝ってもらう女性 (ともに70代) です。従来、自宅で食べる身内の食事はお手伝いのおばさんたちに作ってもらうのが慣習ですが、今回は食事はほとんど業者 (仕出し屋) に頼んで、女性のお手伝いさんの負担を極力減らしました。

分からないことは近所の人や重鎮に意見を求め、地元のやり方に耳を傾けながらも、最終的に、遺体の安置から納棺・火葬・通夜・葬儀まですべて自宅で執り行いました。葬儀に呼んだ人数は、家族、父の兄弟、親友、母方の親戚、親しい近所、同伴の家族も合わせると20名でした。

田舎の平均的な葬式に比べると葬儀・告別式の参列者はかなり小規模になりましたが、葬式全般の流れは通常のやり方と変わらないので、通夜にはある程度の人数が参列しました。

それでも、自宅でやると聞いて、通夜の参列を遠慮した人が多かったようで、玄関で香典を置いていくだけの人も多かったです。通夜・葬儀以外の時間帯に弔問に訪れた人も複数いました。

自宅葬をやって良かった点

お手伝いさんの人数が減らせたこと、集会所への移動がないので楽だったこと、関係者が常に同じ空間にいたので連絡が取りやすく、緊急事態にも即対応できたこと、人との距離が近くなるので儀式もそれ以外の時間も和やかに過ごせたことでしょうか。

自宅葬のデメリット

自宅でやると、確かに家の中は人や業者の出入りが多くなってごちゃごちゃするので煩わしさはあります。

それに、葬儀の規模にもよりますが、ある程度の広さがないと物理的に無理なので必然的に会場を借りることになります。実家は昔の作りなので仕切りの扉を外せば広い空間になってそれなりのスペースが取れるので可能でした。

田舎の葬式はその地に暮らす家族のつきあいを優先する

通夜も葬儀も近親者のみに限定して、その他の弔問客をシャットアウトする家族葬の方が、遺族側は精神的にも体力的にも楽ですし、故人とゆっくりと別れの時間が持てるので、個人的にはその方が理想的です。

といっても、それは田舎を離れて暮らす部外者の考え方です。

田舎で近所や親戚とのつきあいに支えられて暮らしていた故人や今後もその地で暮らしていく母の立場を考えると、その地域のしきたりや・慣習を無視するわけにはいきません。

父の葬式は平均的な近所の葬式よりは小規模でしたが、流れは一般葬と同じく弔問客を拒まずやったのでそれで良かったのだと思います。

田舎もさらに過疎化や高齢化が進んでいくと、葬式のやり方も変わらざるを得なくなるのは明らかです。そうなると葬式のスタイルも多様化していくはずです。

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